おひとりさまの老後


おひとりさまの老後

おひとりさまの老後

  • 作者: 上野 千鶴子
  • 出版社/メーカー: 法研
  • 発売日: 2007/07
  • メディア: 単行本


話題の本ということだし、帯にひかれて手にしてみました。
たしかに、人間さいごは「おひとり様」になるかもしれないし。

しかし・・・

書いてることはわかるけど、そこに見え隠れ、どころか見え見えの
「家族をもたなかった人の、家族をもった人への辛辣な目」に
ぞっと・・・しました。

家族をもたなかった、つくらなかった人に対して
「そういう人生もあるよねー」などと呑気に思ってた私だけど
そういう人は、家族をもち、家族にある意味しばられて生きる人たちを
こんな気持ちで見ているんですかね・・・?

こわ・・・

たとえば「子供を産んで育てたからって、介護をたよれるとは限らない」とかいうのは
そらその通りですけども、
でも・・・介護させようとして子供を産み、育ててる人なんて、いないと思います。
そして誰だって子供の世話には、出来るだけなりたくない。
だって、親にとって子供はほんとうに可愛いもの・・・苦労や迷惑なんて、かけたくないんです。
でも、いろいろな事情が出てくる・・・
そういう複雑さは、ほんとにこの人にはわからないんだと。(お金持ちだし)

夫に先立たれたことを、楽しいことでまぎらわせようとしてる女性の描写も、もちろんほんとに楽しんでるだろうけど、やっぱりそんなサバサバした1面だけでは、語れないはずなのです。

「家族否定」?が根本にあるこの著者の、
「こういう複雑な寂しさを、自分は家族をもたなかったから、味合わずにすんだ!」的な

<あたしの人生が一番得をしている>?的な叫びが・・・
本から、悲鳴のように聞こえました。

まあ人間、自分を肯定しなければ、生きていけませんけども・・・。

しかし、著者の周囲の女性のことを、まさしく<おばはんチックに>アレコレ独断的に、一面的に語る本と
NHKが取材した「ワーキングプア」の本の、重さの違いときたら・・・

ワーキングプア―日本を蝕む病 ワーキングプア―日本を蝕む病
NHKスペシャルワーキングプア」取材班 (2007/06)
ポプラ社

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昔は少なかった、独身のままの人たちが、これからは爆発的に増えるかもしれず、そしたらこんな考え方の人も増えるのだろうか・・・と怖くなりましたが

amazonのレビューとか読んでみたら、わかってる方は「わかって」らっしゃるんだなあと・・・ほっとしました。
(こういうのがあるから、NET大好き笑)

ただ、家族をもつ、育む、ということは、やはり「自分でする」ことなんだなーと、
親がいても、親とは家族を<つくれない>んだと、
<自分でつくる>んだと、それだけは、気付かせてもらえた本でした。